マッチング小説

季節が巡るたびに

1話:春の出会い

桜の花びらが舞う春の日、麻美(あさみ)はいつものように通勤電車に揺られていた。社会人になって2年目の春、変わらない日常に少しだけ退屈を感じていた。そんな麻美が、ふと手に取ったのは友達に勧められたマッチングアプリだった。

「恋愛なんて、まだ先でいいや」そう思いながらも、友達の押しに負けて始めたアプリ。画面をスクロールしていると、「直樹(なおき)」という名前の男性のプロフィールが目に留まった。優しい笑顔の写真と、誠実そうな自己紹介が麻美の心に響いた。

「映画好き、アウトドア好きか…なんだか良いかも。」麻美は「いいね」を押してみた。そして数時間後、直樹からメッセージが届いた。

「はじめまして、麻美さん。映画の趣味が似ていて話してみたいなと思いました。」

そのメッセージを見た瞬間、麻美は思わず微笑んでいた。


2話:メッセージのやり取り

直樹とのやり取りは、予想以上に楽しかった。映画や休日の過ごし方について話が弾み、彼の誠実さがメッセージからも伝わってきた。

「今度、一緒に映画を見に行きませんか?」
ある日、直樹からの誘いに麻美は少しだけ胸を高鳴らせながらも快諾した。

「映画か…久しぶりだな」麻美は、仕事で忙しかった日々の中で、自分が楽しむことを忘れていたことに気づいた。


3話:初めてのデート

デートの日、二人は都内のおしゃれな映画館で待ち合わせをした。麻美は少し緊張しながらも、久しぶりのデートに心を弾ませていた。

映画が始まる前、二人は軽くカフェで話をすることにした。
「直樹さんって、映画に詳しいんですね!」
「そうかな?でも、映画は何も考えずに楽しめるのが好きなんだよね。」

映画館の暗い中で、時折笑い合う二人。共に映画を観ることの楽しさを再発見しながら、二人の距離はゆっくりと縮まっていった。


4話:夏のすれ違い

初デートから何度か会うようになった二人だったが、夏が近づくにつれ、お互いの生活が忙しくなり、少しずつすれ違いが生まれ始めた。

麻美は新しいプロジェクトに追われ、直樹も仕事が忙しくなり、連絡が少なくなっていった。
「もう少し話せたらいいのに…」麻美はそう思いながらも、仕事を優先せざるを得なかった。

ある日、直樹からメッセージが届いた。
「最近忙しくてごめんね。会いたいけど、なかなか時間が取れなくて。」

麻美も同じ気持ちだった。「私も忙しくて…」そう返信しつつ、少しだけ寂しさを感じた。


5話:秋の再会

季節は秋になり、仕事が一段落した麻美は、ふと直樹のことを思い出した。
「また、会いたいな…」そう思った麻美は、思い切って直樹にメッセージを送った。

「お久しぶりです!仕事が落ち着いたので、また一緒に映画でもどうですか?」
直樹からの返事はすぐに届いた。「久しぶり!俺もやっと時間ができたよ。映画、行こう!」

二人は、再び映画館で会うことになった。映画を観た後、二人は公園を散歩しながら、仕事や趣味について久しぶりにゆっくり話をした。秋の涼しい風が心地よく、すれ違っていた時間が嘘のように感じられた。


6話:冬の告白

その日から、再び二人は頻繁に会うようになった。季節は冬に移り変わり、クリスマスが近づいていた。街はイルミネーションで彩られ、二人の関係も徐々に進展していた。

クリスマスイブの日、直樹は麻美を夜景の見えるレストランに誘った。そこで二人は特別な時間を過ごし、食事の後、直樹が静かに切り出した。

「麻美さん、出会ってからずっと、君のことが気になっていたんだ。もっと一緒に過ごしたいし、これからもそばにいてほしい。」

その言葉に、麻美の胸は熱くなった。
「私も…直樹さんと一緒にいると、すごく安心するの。これからも、よろしくね。」
二人はその夜、クリスマスのイルミネーションに包まれながら、初めてのキスを交わした。


7話:未来への道

冬が過ぎ、再び春が訪れるころ、二人の関係はより深くなっていた。直樹は麻美にプロポーズを決意していた。桜が満開になったある日、二人はまた映画館へ足を運んだ。

映画が終わった後、直樹は麻美を公園に連れて行った。桜の花びらが舞う中、直樹は静かにポケットから小さな箱を取り出した。

「麻美、君と過ごす時間が、本当に幸せなんだ。これからもずっと一緒にいたい。結婚してください。」
麻美は驚きつつも、涙を浮かべて「はい」と答えた。


最後に

季節の移り変わりと共に、すれ違いながらも再び巡り会った二人。マッチングアプリで始まった恋は、長い道のりを経て、ついに結婚という形で実を結びました。愛は時に困難な試練を乗り越えながらも、強い絆で結ばれるものです。季節が巡るたびに、二人の愛もまた深まっていくのでしょう。

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